平成・令和文化  ~アニメは浮世絵を超えるのか?~

文化論

下図は、総務省のデータ(平成28年度版)ですが、生産年齢人口は1995年をピークに減少に転じており、総人口も2008年をピークに減少に転じています。

さて、こういう人口減少は、過去にはなかったのでしょうか?

あります。

歴史上の人口減少期

「中世後期の欧州」と「江戸時代中期の日本」です。この二つの時代には共通点があります。現代日本に参考になりそうです。
 
まず、欧州ですが、14世紀中頃まで、中央ヨーロッパの森林地域における多数の開墾事業が行われ、人口増傾向が続き、1340年頃に約7400万人に達しましたが、その後、森林などは開墾されつくし、収穫が人口増ほど増えず、人々の栄養状態が悪化し、ペストが大流行、次世紀まで続いた百年戦争による荒廃によって、たった10年間で約5100万人に激減するのです。たとえば、1340年のイタリアは、人口930万人でしたが、1500年には、550万人と160年間で四割減になってしまいました。

江戸時代はどうでしょうか。ちょうど享保から化政期にいたる江戸中期の人口は1732年の3230万人をピークに、1790年頃まで60年に渡って減り続けています。きっかけは気候の変化です。気温が急激に下がったことによって宝暦、安永、天明期に大飢饉が発生します。しかし、問題の本質はこの時代を支えていた集約農業文明が限界に達したためなのです。実は米を中心とした経済により、寒さに弱い米作りを青森の果てまで広げたことが大きな問題だったのです。

天明の大飢饉によって東北の人口はおよそ半分に減り、農民たちは自らの生活水準を維持するために堕胎や間引きによる出産抑制に走りました。姥捨てなどもこのときに始まります。江戸や大坂などの都市では、文化の成熟化によって晩婚化や単身化が拡大し、出生率が低下しました。人口密度が高く、衛生状態も悪いために災害や流行病による死亡率も高まりました。
 
人口は社会の余裕があるときには常に増加し、余裕がなくなると本能的な人口抑制装置が作動するのです。これはあらゆる動物において起こることです。子供を作るより、自分を守りたい。これが少子化の正体だそうです。

(参照:“人口減少”こそビジネスチャンス(前編))

人口減少と文化

人口が減っていくと当然、労働生産性を上げる圧力が加わるので、中世欧州は、物的生産力が向上する中で人口が減りました。そうすると、生産性の低い土地がどんどん捨てられ、人口は生産性の高い平地や都市に集中します。現代の日本でも地方は人口減の過疎化が加速されていますが、大都市は逆に流入増になっているのと同じ現象ですね。

農地は見捨てられ、農作物などは、エジプトなどの外国から輸入するようになり、都市では、工芸品(ベネチアのガラス、フィレンツエの絹織物)などの手工業が盛んになり、エジプトなどに輸出もされます。そうすると交易もさかんになり、様々な文化が起こり、やがてラファエロやミケランジェロという芸術家が登場します。

日本の化政文化も江戸を中心に発達しました。町人文化とも言われています(曲亭馬琴・小林一茶・十返舎一九等)。

堺屋太一さんは、「物財が増加する中で人口が減少すると、「文化」を強烈に発展させる可能性がある」と言っています。(参照:文明を説く)

人口減少と平成・令和文化


へー、そうなんだと思いながら、それなら、思いっきり人口減少期の平成・令和文化とはなんだろなと思いめぐらしてみましょう。

J-POPカルチャではないでしょうか。今の、J-POPカルチャーの代表的な独特の「女の子ファッション」「アニメ」「コスプレ」などは、原点は、80年代の原宿文化でしょうか。「竹の子族」グループが週末の代々木公園で竹の子ファッションという非常に奇抜なコスチュームで踊っていました。どちらかというと暴走族から発生した軟派集団のような始まりだったと記憶しています。

それが、だんだん踊りはなくなり(パラパラとかは一時的に流行ったが)、ファッションだけが進化していきます。頭髪を茶色に染め(茶髪)、マニュキュアを塗り、日サロに行って顔を黒くし(顔グロ)、スカートの丈を短くするという制服姿も登場します。いわゆる「制服ファッション」です。これは、多少地味になりましたが今でも続いています。

休日は、というと「ロリータ・ファッション」と言われる我々おじさんにはちょっと違和感のあるようなファッションが流行り始め、今でも続いています。

この「制服ファッション」、「ロリータ・ファッション」、「アニメ・ファッション」はコスプレとして、海外で今かなり流行っています。欧米でもアジアでも流行っているので、地域性はないようです。この普及のバックボーンにあるのが「漫画(アニメ」の存在です。

日本の漫画は海外のそれと比べるとストーリー性があり、深い内容だそうで、若い人たちにかなりの支持を受けています。その中に、上記のファッションも自然ともちこまれているようです。

「きゃーりー・ぱみゅ・ぱみゅ」さんは、その象徴的な存在だと思います。彼女は、読者モデルとして活躍していた時に、原宿でスカウトされ、18歳でデビューし、20歳でワールドツアーをするくらいブレイクしました。人気をつかんだポイントは、日本の独特な文化を非常にわかりやすい形、彼女の言葉を借りるなら「KAWAIIをArtで表現でできた」からでしょう。


海外の若者の反応は、普通と違う所に先進性(Future)を感じると言っています。そこがCoolなのだそうです。彼女は、自分をアーティストだと自負しており、ファッションから舞台構成など、チームと一緒にアイデア出しをしているそうです。

私は、この現象は、日本が今まで、四半世紀、日本で培ってきた若者女子文化が、ネットなどの技術革新の助けも借りて、海外に溢れ出したのだろうと思います。多少、倒錯感もあったファッションやアニメなどというどちらかというと日本では、「日陰の存在」だった文化が、海外で流行るとは、「ユニーク(独特)」ということを世界が求めているのでしょうかね。少し、複雑な気もします。そして、それら大半が、女子の力によるところも面白いと思います。

私はもう一つ、J-POPカルチャーとして、日本が世界に誇れるものとしてあげたいのが、「お笑い」です。日本では、TVでいつもお笑い芸人の出ている番組を放映していて、その芸人の数は半端ではないですし、世界中の中でもダントツだと思います。よって、このカルチャーが海外の若者に受けてもおかしくはありません。

ただネックは、「言葉」です。おそらく、ほとんどの芸人は英語がしゃべれないでしょうから。しかし、チャップリンやMrビーンは、しゃべらないお笑いで世界中で人気者になったし、ピコ太郎のPPAPなどのように、いろんな方法があると思います。


吉本と大阪府は、今度は、「男子力」で、「OWARAI」文化を世界に普及させるべきだと思います。 

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参考文献

『“人口減少”こそビジネスチャンス(前編)』日経BP 2014年

堺屋太一著『東大講義録 ―文明を解く』講談社 2003年

2,939

【2014年4月15日】

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