「ファッション イン ジャパン 1945-2020」に行ってきた感想・レビュー~日本のファッションの流行と社会について

未分類

国立新美術館でやっている「ファッション イン ジャパン」(2021年6月9日ー9月6日)に行ってきました。率直な感想は、「どの時代のファッションも今でもかっこいい」と思います。戦後のファッションをこうやって、一度にみる機会はなかったので、とても興味深かったですね。

高度成長期の景気のいい時だけ、ファッションも華やかというような構図ではないと思いましたし、日本のファッションはかなりイケているなとも思いました。

時代別にコーナーが設けられていましたので、ちょっと感想を書かせてもらいます。

1945-1950年代 戦後、洋裁ブームの到来

女性は戦争中は「もんぺ」を着ていました。戦後になり、それまでの抑制された時代からファッションも自由な時代になったわけです。しかし、物資がそれほどない時代です。

女性はたくましいですね。自分たちで洋服を作り始めます。そのための洋裁学校や「暮らしの手帳」洋裁雑誌などが流行ります。その頃の服も展示してありましたが、なかなかかっこよかったですね。戦争未亡人はこれで生計をたてたりしたそうです。今風にいうとクリエイターという起業家になったわけです。

森英恵さんもこの頃、服を作り出さしたそうです。

私の母も洋裁学校に行ったと言っていました。小さいときのセーターなどは母の手作りでしたね。今だと、オーダーメードという感じです。

1960年代「作る」から「買う」時代へ

さて、日本が高度成長期に入っていくときですね。服も既製服が大量生産されていきます。手作りよりも既製服のほうがかっこいいと思われだした時です。

このころは、世界中でファッションに関しては騒がしくなった時ですかね。そうです「ミニ・スカート」が世界中で大流行し、音楽では、ビートルズが大ヒットし、彼らの長髪(マッシュルームヘア)や細身のフェミニンなファンションが流行り、またアイビールックもアメリカから輸入されて、日本では、「VAN」が火付け役になりました。「JUN」ブランドも有名でした。私ももう少し後になりますが、VANも服をもつのが憧れでしたね。1964年の東京オリンピックのユニフォームも展示されていましたが、よく見ると三つボタンジャケットのアイビースタイルなのですね。

1970年代 個性豊かな日本人デザイナーの躍進

この頃は、団塊の世代(戦後生まれの世代)がいろんな分野で、イノベーターとして活躍しだし、ファッションでは、今でも活躍している山本寛斎などが登場してきました。

この頃は、学生運動が激しく展開され、民主主義の象徴として、フォークソングやTシャツやジーンズが大流行しました。

1970年、フランスのファッション誌「ELLE」の日本語版として「anan」が、71年に「non-no」が創刊されました。男性は、76年創刊の「ポパイ」でしょう。

1980年代 DCブランドの最盛期

日本経済はバブルへと向かう時代です。私も社会人になった頃ですね。男性は、DCブランドのスーツ、女性はボディコンのファッションが流行りました。若者はそれを着て、ディスコで踊っていました(私もです)。

原宿の代々木公園では、「竹の子族」というアラビアンナイトのような原色と大きな柄物の生地を使ったファッションに身を包んだ集団が踊っていましたね。これが、この後に続く原宿ファッションのルーツだと思います。

1990年代 渋谷・原宿から発信された新たなファッション

90年代前半にバブルが崩壊し、経済は低迷し始めますが、若者ファンションは、景気などおかまいなしに、竹の子族ファッションから進化しはじめます。

80年代は「女子大生ブーム」と言われましたが、90年代の主役は「女子高生」です。女子大生ブームのセクシー路線に後押しされて、制服をミニスカートにしてルーズソックスをはくファッションが流行りました。彼女たちのカリスマ的存在が、安室奈美恵さんです。彼女のファッションをまねる子を「アムラー」と呼んでいましたね。

いわゆる「コギャル文化」です。頭髪を茶色に染め(茶髪)、マニュキュアを塗り、日サロに行って顔を黒く(顔グロ)するなどで、当時の高校生は女子が圧倒的に存在感を示していました。

読者モデル(ドクモ)がファッション誌に登場し、ファンションがより身近になっていきます。

また、景気後退時期でもあり、「ユニクロ」がフリースブームを巻き起こし、機能性にとんだ安価なファッションが浸透し始めます。

2000年代 世界に飛躍した「Kawaii」

この頃流行ったのは、「ロリータ・ファッション」ですかね。少女趣味の服装です。2004年の映画「下妻物語」でも大きく取り上げられました。

1974年誕生の「ハローキティ」とともに、日本の若い女子ファッションは、「Kawaii」という日本語とともに世界に浸透していきました。アニメやコスプレもそれを後押ししましたね。日本のサブカルチャーが世界へ飛躍した時代です。

これは、戦後のファッション誌の中でも、一番凄いインパクトではなかったでしょうか。しかも、仕掛け人がデザイナーではなく、一般の女子高校生というところが驚きです。

そのシンボル的な存在が、キャーリー・パミュ・パミュさんでしょう。彼女は、2011年、原宿でスカウトされ、18歳でデビューし、20歳でWorld Tourをする人気をつかみました。成功のポイントは、この日本の独特な文化を非常にわかりやす形、彼女の言葉を借りるなら「KAWAIIをArtで表現でできた」からでしょう。

海外では、奇抜なファッションは、あまり受け入れられない国が多いそうですが、日本では「Kawaii」ければ、なんでもOKというのは、ある意味、先進性があるようです。

2010年代「いいね」の時代へ

2011年3月11日に東北大震災が起き、環境に対する価値観が高まりました。ファストファッションは存在感を増し、リラックスしたムードのカジュアルなスタイルが時代の主流となり、SNSの時代になって、少数の人々の共感を呼ぶ小さな動向が並在するという新たな状況が生じました。

未来のファッション

画像1

まあ、サステナブルな社会をということで、リサイクル・ファッションは一つの大きなテーマにはなりそうです。センサーなどが埋め込まれたハイテクなものにもなるのでしょう。

どんな、ファッションになっていくのでしょう。昔は、女子高生ファンっションやロリータファッションなどは想像さえしませんでしたが、今は、すっかり定着しています。

どんなファッションになるんでしょう、きっとおもしろいものになるのでしょうね。

2,654

【2021年8月29日記】

コメント

タイトルとURLをコピーしました