1924年に「シュルレアリスム宣言」が行われ、日本でも、瀧口修造(1903~1979 )などがアンドレ・ブルトンの『超現実主義と絵画』を翻訳したりして日本へ輸入しました。
シュルレアリスムは、今ある現実を超える(超現実)ということから、あらゆる常識に疑いの眼を向けて真実を模索する運動であるので、ある意味、反体制的な雰囲気を醸し出していました。
当時は、当局には、それが排除すべき共産主義と重なり、1941年4月に瀧口らが、警察に拘留される「シュルレアリスム弾圧事件」がおき、再び、この新興芸術運動は、戦争の終結を待たなければならなくなりました。
挙国一致の軍国主義に、違う考え方は邪魔だったわけですね。
私には、この事と今の「D&I:ダイバーシティ&インクルージョン」が重なります。
20世紀の高度成長期の日本は、海外から取り入れた技術を利用し、安価な国内労働力をフル活用して、大量に安価な製品を世界中に売りさばくことで勝ちパータンを手にいれ、世界第二の経済力を手に入れました。
そこでの中心産業は、工場をもった製造業です。日本人労働者は、決められた工程を指示されたように正確にそれをこなしていく従順さが求められ、異質な考え方は生産性低下の要因になると思われていました。
当時の日本企業は、まさに軍隊の組織を模倣しており、それぞれの部隊に班長や隊長がいるように、部長や課長が存在し、名前よりも役職優先で呼んだり、命令系統もピラミッド型でした。
現在のD&Iの多様性の尊重、フラットなコミュニケーション、いろんな価値観の共有というのは、軍隊的組織には適さなかったのだと思います。
今、芸術を語るときに、昔の写実的な作品よりも、前衛的な作品のほうが、「芸術的」と言われるようになってきました。
組織も、D&Iを追求しているほうが、今の時代にはマッチしており、より「創造的」な会社と言われるのでしょう。
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